どもっ!柔整師でブロガーのAkira(@10sei_guide)だよ!
人体で一番多い組織である筋膜。
柔整ガイドでは様々な筋膜情報を流しているけど、今回は治療要素を組みこませて紹介していきたいと思う。
筋膜のもつ、3つの特性を理解しよう。
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筋膜<fascia>ってなに?
筋膜ってなに?って聞かれて即答できる人はこのHPをよく見てくれているんだろうね。
- 筋膜って筋を包んでいるもの?
- 内臓を保護しているもの?
- 胸腰筋膜など筋膜という名称がついているもの?
答えは全てになる。
現代の筋膜の定義は「人体に広がる結合組織の軟部組織要素」とされている。
つまり筋、腱、内臓、関節包も含めて膜・筋膜なんだよね。
(まあ一般的には関節包とかは入れなくてもいいかもしれないけど)
筋膜は割合や配置は違うものの基本的要素を構成し、相互接続している事が基本となっている。
繰り返しになるけど、体にある膜状の結合組織は全てfasciaとなっている。
じゃあmyofasciaってなんだ?
筋筋膜とは?
myofascia=筋筋膜は上で説明した筋膜より範囲が狭くなる。
これは骨格筋に関連した筋結合組織の膜組織を指す。
具体的に言うと中隔、筋周膜、被膜など。
日本語の場合fasciaを筋膜と訳してしまったため、その前にmyo(=筋)を付けて差別化する事になり、逆にわかりにくくなってしまった。
fascia=膜、myo=筋と考えるとわかり易く、しっくりくるかも。
筋膜の特性1:連続性
筋膜は連続性に優れている。お互いの連結のことね。
教科書的には筋原線維が筋内膜に囲まれて~と習うけど、あくまで筋個体であって全体像は捉えられていない。
筋の筋膜付着部の約30%は骨でなく、隣接した筋膜組織に連結する。
つまり筋膜は本来全体像でとらえるべきであって、他の筋膜に繋がる事で相互連結し、三次元のネットワークを形成するのだ。
このネットワーク、連続性は負荷を均等化へ誘導し、張力に反応でき、全体的な感受性を高めるといったメリットがある。
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筋膜の運動について
筋膜の運動は連結能力が高いのでお互いの運動にも関わりあう。
スポンジのような伸縮性、ジェルの様に滑りやすいタンパク質、強靭なコラーゲン繊維が散らばっていることで運動を円滑にしている。
しかし繰り返される動作や運動不足、外傷によるものなどにより歪みが生じてくると筋膜の連結は硬くなって制限や拘束、動きにくさが起こってくる。
連動性がありお互いに関連しているデメリットとして、接続が強すぎる状態も影響してしまうのだ。
これはウエットスーツやアンダーシャツの様にはっきりとわかるものではなく、患者自身も気付かないことも多々ある。
筋膜の連続性の治療
筋膜が過剰に連結した場合、セラピストはくっついた部分を切り離し、独自の動きを獲得する必要がある。
そのために必要な要素として、患者の自動運動による隣接する組織の滑走が必要となる。
プラスし圧迫、摩擦、スライドを筋や腱、靭帯、他の筋膜の境目で行う事で回復に近づける。
筋膜の特性2:可そ性
筋膜リリースは効果的に行うことで、変化を感じることが出来る。
組織は軟化し、伸びる事ができ、分離する。また硬く密度が高い部分は消失して柔軟になる。
これはうまくいくと患者・セラピストの両者が感じることが出来る。
そもそも可そ性とは?
↑悪い姿勢が長期間続くと筋膜に記憶される
筋膜にとっての可そ性とは記憶装置みたいなものを想像するとわかりやすいと思う。
特定の刺激を与え続けるとその形に変わってしまうって感じ。
チキソトロピー(低粘度化)とは
Ida Rolfは筋膜の変化を細胞外基質のゲルからゾルへ溶解するものと考えていた。
実際リリースがうまくいくとまさに溶け込む感じがするのでこの感覚はうなずける。
つまりセラピストの圧迫による機械的な結果ということになる。
しかし最近ではこの現象(ゲル→ゾル)について疑問の声も多い。と言うのも現代では研究も進み【この変化を起こすのに必要な圧迫力や時間は、私たちセラピストで可能なレベルを超えている結論も出ている】と一部では言われている。重要ね。
実はIda Rolf自身もあくまで推察と公言していた。
最新仮説の1つとしてMRIを用いた研究もある。
伸張中の生態の腱表面に液体の水滴があったのだ。
つまりタンパク線維の弾性相互作用を介して水は筋膜の硬さに重要である事を指している。
細胞外基質による水の絞りと補充はスポンジ様として考えられている。
つまり基質の水和変化によるものと推察される。
筋膜は収縮するのか?
筋膜の収縮について従来の見解では、筋は自分で収縮できるけど筋膜は他動的に抵抗がかかるとされてきた。
セラピストが感じるリリースは筋膜のもつ未知の自動収縮性によるものかもしれないとの仮説もある。
しかし現状では手技で感じるリリースについては解明されていないと言うのが答えとなっている。
筋膜の弾性
伸張、損傷、瘢痕、運動不足で起こる筋膜の可そ性により弾性が失われた場合、治療の目的は弾性を回復されることになる。
正確なメカニズムはまだまだ意見の相違があるけど結果として、患者が十分有益(疼痛、可動域の改善)と感じることはある種のエビデンスに近いものがあると思う。
ゲル→ゾルはちょっと違うかもって流れだけど、溶け込む感じがして患者は楽になるっって結果があればとりあえずは、いわゆる筋膜リリースはとてもgoodってこと。
筋膜の特性3:感受性
筋膜には多くの受容器や神経終末があり、それらによって身体の感覚を捉えている事については十分なエビデンスや文献がある。
感覚受容器は人体最多の網膜を上回るとの意見もあるほど。
もちろん筋組織自体も感受性は高いけど、筋膜のネットワークはその約6倍と言われいる。
皮ふももちろん感受性は高い。触覚があるからね。
身体の内部感覚は真皮の下で始まり、浅筋膜と深筋膜とその周辺には自由神経終末と機械受容器がかなり密集している。
これらは圧迫、伸張、せん断応力、振動などを感知し、運動の知覚、制御、協調性に携わる。
私たちの身体がどこにあり、どう動いているかを認識する手伝いをしているのが筋膜の役割の1つと言える。
筋膜に感受性があるということは痛みも感じる事ができるということ。
つまりそうすると腰部痛、トリガーポイント、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)、など痛みの発生や持続的な痛みにも関わる。
また前述通り、筋実質よりも筋膜の感受性が高いので肉離れなどの外傷でも関連する。
そこで私たちは治療で筋膜の感受性を様々な方法で利用することができる。
筋膜の固有受容器の利用
筋の安静時の緊張と関連する結合組織の緊張をとる。
多くは筋腱付着部や骨膜付着部に静的圧迫を用いる。
さらに患者の自動運動とこの圧迫でゴルジ腱器官と他の受容器を刺激し緊張の緩和につなげる。
患者の知覚を刺激する
多くの痛みを訴える患者は自分の身体の感覚(固有感覚、受容器)が乱れている可能性がある。
その知覚を刺激し、良い意味で感覚を良くして上げることは姿勢の意識やその快適さ、身体の協調性など広範囲に関連する。
ただ漠然と行うよりも感覚を養いながら治療するおなおいいかもしれないね。
筋膜の特性の共通点とは
今回は3つとして紹介・解説してきたけど、この3つはお互いが関係しあっている事を忘れてはいけない。
感受性は狭くては意味ないから連続性は大切になるし、連続性は可そ性と弾力に関連する。
3つを別々に考えることは理解しやすいけど、治療ではトータルで考える必要がある。
おわりに
Ida Rolfの話は少し深くなったけど、今回紹介した内容は基本と言えば基本となる。
日々の研究により新しい発見が次々生まれるので、セラピストはできるだけ最新の情報を取り入れる必要がある。
個人的に気になるのは筋膜のリリースは本当は何が関係しているのか?
現在は水和性の関係とされているけど、数年後はどうだろうね。
まだまだわからないことが沢山あることは間違いない。
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