どもっ!柔整師でブロガーのAkira(@10sei_guide)だよ!
今回は肩峰下インピンジメント症候群の治療について書いていこうと思う。
とりわけ手技の話がメインになるけど、炎症期でないインピンジメント症候群の痛みは取りやすい。
肩峰下インピンジメント症候群の治療アプローチで悩んでいる方は参考にしてもうい、ぜひ実践してほしい。
そもそも肩峰下インピンジメント症候群とは
知っている人も多いと思うけど、一応簡単に説明しておこう。
肩峰下インピンジメント症候群は肩甲骨と上腕骨の動きのバランス、とりわけ肩甲骨上腕リズムが崩れる事で肩の外側に痛みが出る疾患になる。
圧倒的に多いのは上腕骨の動きに肩甲骨がついてこない為、棘上筋腱やSAB(肩峰下滑液包)が烏口肩峰アーチと上腕骨の間でインピンジメントされて痛みとなるケースになる。
挙上初期では痛みを感じにくく、上がるにつれ痛みは強くなるのも特徴。
ちなみに肩甲骨の動きで一番問題となるのは上方回旋。
基本的に上肢内旋位での疼痛は今回は除外して考えていく。
そしてここでは特に肩甲骨の上方回旋の対応についてまとめてある。
筋肉や関節が痛みが出る原因についてはこっちで詳しくまとめてあるわよ
肩峰下インピンジメント症候群はどんな人に多い
肩峰下インピンジメント症候群になる原因やなりやすい人には特徴がある。
- デスクワーク
- 過剰に力が入りやすい人
- 投球動作で無理に力を入れてプレーする選手
- バレーのブロックで無理に手を上げ続けなければいけない選手
など、このあたりが現実的。
基本的にインナーマッスルとアウターマッスルのバランスが崩れて起こるとされて、緊張しやすい(肩に力が入りやすい)人に多い。
また肩甲上腕関節での上腕骨の転がりと滑りの破たんによっても起こる。この場合アウターマッスルである三角筋の過緊張や拘縮が存在することもあるので、三角筋を緩めてもいいだろう。
球関節などはインナーマッスルによる転がり、アウターマッスルによる滑りの動作が必要になる。
双方がうまく機能しないと関節でのインピンジメントを起こる可能性がある。
肩甲骨が上方回旋できない大きな2つの理由
肩甲骨が上方回旋できない理由が大きく分けて2つある。
1つ目:胸椎の伸展不足
胸椎の伸展不足があると肩甲骨が外転位に保たれる為、上方回旋が困難になる。
そのためまずは胸椎の伸展が不足している場合、そちらからアプローチする必要がある。
このチェックは簡単。
まずは通常の痛みが出る挙上をしてもらう。そのあとに胸椎を伸展方向へ誘導した状態で挙上してもらおう。
痛みに改善が見られた場合、胸椎にアプローチする必要がある&胸椎へのアプローチで十分である。
部分的に胸椎の伸展が弱い部分があったら胸椎の伸展運動をしてもらいながらそこを押したり、タップするだけでも改善されることは少なくない。
それでも厳しいようならストレッチポールに水平に寝て上肢を脱力する事から始める様に指導しよう。
ちなみに胸椎へのアプローチだけで痛みが取れる人もいるため、かなり重要なポイントと言える。
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2つ目:肩甲骨に付着する筋肉の問題
肩甲骨の上方回旋を制限する筋肉にtightnessな問題があると、それが純粋な問題となるのは理解しやすい問題だと思う。
筋性の場合、下記で紹介する手技で改善しやすいのでそちらを参考にしてほしい。
上腕骨の問題
肩峰下インピンジメント症候群では上腕骨の問題でも動きにスムーズさがなくなり痛みとなることがある。それが肩上方組織の拘縮。
これがインピンジメント症候群となるかは別だけど、人によっては三角筋や三角筋下滑液包がスムーズに動かない事で痛みとなっているケースもある。
この場合は三角筋のリラクゼーションを行う事で、その場で痛みが軽減または消失する事しばしばみられる。
リラクゼーションの内容はマッサージでもいいし、リリースでもいい。但し過度な直圧や強いリリースは滑液包に過度な刺激が入力されることもあるので注意すること。
肩峰下インピンジメント症候群の治療・リハビリのやり方
上記にも書いてある通り、痛みのメインの理由は肩甲骨の動き、主に上方回旋がうまくできないのが原因となる。そしてその対策はシンプルで上方回旋を誘導してあげればいいわけだ。
順番を書いていくので参考にしてもらえればと思う。
①痛みの確認:まずは患側を上にして側臥位とする。その状態で痛みの確認しよう。治療後と比較するために必要である。
②腕を持つ場所・ポジション:患者の頭側に立ち、患側と反対の手で手関節部を持つ。患側と同じ手の母指を肩甲骨の上角のやや内側に当てよう。直に上角だと圧迫時に痛みが出る事がある為、注意が必要。残りの手・指を肩甲骨の内側部に当て、軽くサポートする。
③具体的な動作:出来るだけ患者に脱力してもらい、他動的に患者患側上肢を屈曲挙上していこう。同時に右手の母指で肩甲骨の上角付近に当てた手を尾側に押し出す。これが肩甲骨の上方回旋の誘導になる。上手く誘導出来た場合、多くの場合痛みが取れる。
④最後に:痛みが出ないのを確認したら10回程繰り返そう。その後肩甲骨軽度外転位で同様に繰り返し行っていく。しかしプレーン上を越えないようにするのに注意してほしい。最後に患側手関節を持った手を放し、患者の自動挙上に合わせて肩甲骨の上方回旋のみの誘導が出来れば更にいいだろう。
インピンジメント症候群の手技のアドバイス
患者の肘が伸展していると力が力が入りやすい為、脱力がうまく出来ない患者は肘屈曲位で行おう。軽度屈曲位で行うことで脱力しやすいからね。
上角のやや内側を押すとき意識する事は手関節部を持った手とのバランスを意識する必要がある。
押す具合が遅くてもダメだし、早くてもダメ。気を付けるべきポイントとなる。
細かいポイント
更に肩峰下インピンジメント症候群の治療をするにあたっての細かいポイントを書いておくので参考にしてほしい。
■胸椎の動きが低下
→肩甲骨が外転し、上方回旋が行いにくい
■上腕骨を内旋での挙上
→上腕内旋だと純粋に挙上が困難。解剖学的に大結節が邪魔になる為だ。
■僧帽筋の過活動
→これは問題となる。患側上肢を挙上して肩甲骨の上方回旋をサポートする際に「ぎゅっ」と収縮してしまう人がたまにいる。
その時は痛みがない範囲で出来る範囲で行う。その後ウォールウォークで力を抜いての挙上を覚えさせそう。
純粋な緊張による場合はリラックスさせることで脱力が出来るようになる。
■肩甲骨の上方回旋を防止している筋肉
→肩甲骨の上方回旋の誘導がうまくできない時がある。その際は一度止めてアプローチを1つ加えよう。
僧帽筋下部繊維や広背筋が肩甲骨に付着する部分、下角周囲のポイントを軽擦したり、リリースする事で上方回旋がしやすくすることが少なくない。
■その場である程度痛みが減少しても数回の継続は必要
→その人の癖は中々改善されない為、繰り替えし手技を行い、エクササイズを指導することで身体に使い方を覚えさせよう。
その場で痛みが軽減したらエクササイズも指導して
ストレッチポールやまくらを胸椎部に入れた、胸椎エクササイズ。
上腕の内旋挙上の意識改善(内旋位での挙上が改善されない場合は大胸筋へのアプローチも考慮)。
僧帽筋の脱力の意識も大事な要素だ。患側の手を壁などに当てそのままゆっくりと挙上していく。その際反対の手で僧帽筋を触って挙上と共に過度な収縮が入らないか確認させよう。入る場合は少し手を戻してやり直しが必要となる。
前鋸筋は上方回旋に必要な筋肉である為前鋸筋の活動意識を持たせよう。ハンドボールより少し大きいぐらいのつぶせる事ができるボールを左右の手で挟み、できるだけ前に出していく。そのまま軽くボールをつぶしていく事で、前鋸筋へのアプローチとなる。最初は意識が難しい為、前鋸筋を触りながら意識させてあげよう。
肩峰下インピンジメント症候群でやらない方がいいエクササイズ
上肢下垂時のシュラッグはお勧めしない。
肩甲骨上部組織に過度な緊張が加わり、肩挙上時に過度な力が入っていまうからだ。
収縮後弛緩で僧帽筋の緊張緩める目的ならいいけど、慎重に行ってほしい。
インナーマッスルのトレーニングについて
肩峰下インピンジメント症候群のインナーマッスルのトレーニングは余程でない限り上腕の内旋が過度に働く事はないので、あえて必要ではないだろう。
ただし上腕の内旋筋がtightnessであると問題となる為、そちらへはアプローチが必要になる。
しかしどうしても行いたい場合、軽微な負荷であくまで上腕の外旋の意識付けをするためにやってもいいかもしれない。
おわりに
非炎症性の肩峰下インピンジメント症候群は僧帽筋の過活動がみられない限りほとんどの場合、今回紹介した手技・リハビリを数回し、日常生活の指導を行う事で痛みは改善されると思う。
まずは胸椎、次に肩甲骨。
上方回旋を覚えさせる様に手技を行い、上方回旋が出にくい場合は抵抗している筋肉にアプローチしてから行う。
そして必要なエクササイズや脱力などを指導すればOKだ。
肩甲骨の上方回旋誘導が慣れるまでは難しいかもしれないけど、慣れてしまえば簡単にできるので、是非実践してほしい。
以上で今回の話はおしまいとなる。