どもっ!柔整師でブロガーのAkira(@10sei_guide)だよ!
歩行時の側方動揺やバランス能力の低下には中殿筋をはじめてとしたラテラルラインへのアプローチは有効となる。
簡単に考えると股関節の外転運動をすればいいんだけど、実際はそこまで簡単ではなく正しい手順を踏まないと中々できない事も多い。
そこで今回はその手順について普段僕が行っているところ紹介できればと思い、記事にしてみた。
側方動揺へのアプローチに自身がない方は、一度読んで頂ければ参考になるかと思う。
側方へのアプローチは側方だけでは結果は出ないことが多いよね。
中殿筋の大事な作用
側方同様と言われてポイントとなるのが、中殿筋だと思う。もちろん小殿筋や大腿筋膜張筋なんかもそうだけどね。
中殿筋の作用は?と学校で聞かれた場合の正解は股関節の外転。しかし現場に出てそれを言うと少し問題となる。
もちろん間違っているわけではない。間違ってはいないけど、本来の大事な作用は荷重時に骨盤の側方動揺を抑える事となる。
骨盤の側方動揺が見られると膝の内反がみられるし、腹斜筋の過度な緊張にも繋がり姿勢異常をきたしやすい。
つまり中殿筋の異常は2次的な問題を非常に起こしやすいと言える。
つまり非荷重ではなく、荷重で考える必要があるわけだね。
中殿筋が働いていない人の特徴
中殿筋がうまく働いていない人の特徴はすぐにわかる。
トレンデレンブルグ徴候って言われているけど歩行での立脚時(荷重時)患側の骨盤が挙上する。そして体幹の同側への側屈が生じる。
つまり右の中殿筋の機能低下を起こすと立脚時に右の骨盤が上がり、体幹が右へ側屈するパターンが多いと言える。
主に股関節が内旋している人に多い傾向で、これは単純に中殿筋をはじめとする股関節の側方動揺を防止する組織の低下と言える。
側方動揺が減ることのメリット
側方動揺が減る事は多くのメリットを生み出す。
歩く姿勢が綺麗になることは多くの患者・クライアントの望みを叶え、満足感を与えるし動作時の痛みも軽減する。
スポーツで言えばスポーツパフォーマンスの向上やスポーツ外傷・障害の軽減に直結するし、理想のフォームへ近づくことができる。
ラテラルラインの短縮を防ぎ正しいアライメントへ誘導するし、しっかり立脚できるので反対足の遊脚時間を確保できる。
中殿筋へのアプローチ手順
それでは新米でも出来る中殿筋へのアプローチのやり方を説明していきたいと思う。
順番に行っていけば基本的にはOKなはず。
手順① 荷重・非荷重でのチェック
荷重時のチェックは通常の立位と歩行でみる。歩行が難しければ足踏みでもチェックは可能となる。
右をチェックする場合、立位で右の腸骨陵が左と比べて挙上していないか確認しよう。
足踏みの場合も中殿筋の機能低下は右立脚時(体重が乗っているほう)に腸骨の挙上が見られる。ポイントは体重が乗っている方に骨盤の挙上があるかだ。
よくわからない場合はシールなどを貼り、見やすくするといいかも。
そしてもう1つポイントがある。
荷重時、荷重側の体幹の側屈が出ていないかだ。側屈が出ていると中殿筋の刺激がうまくはいらない。
基本的に中殿筋と腹斜筋(内腹斜筋の代償と外腹斜筋の機能低下)はペアで考えるとうまく行くことが多い。
手順② 非荷重での促通
まずは非荷重で行うといいだろう。股関節屈曲・伸展0°を目安に行う。
股関節屈曲が入ってくると他の筋の活動が優位になり目的の中殿筋へのアプローチが難しくなるから注意が必要。
きちんと側臥位が取れたら股関節の外転を指示しよう。角度的には20°ぐらいでいいかもしれない。股関節単独の最大外転角度は45°程度とされているし、わざわざそんなに股関節を外転して歩く人はいないからね。
その時に中殿筋をタップなどして刺激を入れてあげといい。
もし中殿筋が入っていないようならきちんと側臥位が取れていない可能性がある。
下に改善点を書いてあるのでチェックしてほしい。
5,6回行ったら、股関節伸展位でも同様に行う。もし可能なら徒手で抵抗をかけてもいいだろう。
その時に強く抵抗をかけると股関節の屈曲が出てくるので軽めでOKだ。
中殿筋が使えてない人にこれを行うと激しく疲労するので気持ち少な目がいい。正直結構きつい。
それは患者・クライアントと話しながらやってほしい。
チェック1 側臥位が取れているかチェック
側臥位で股関節の屈曲・伸展0°が取れない人の場合、多くは股関節が屈曲位となっている。つまり股関節屈筋がtightになっているわけだ。
その場合はそのまま側臥位で股関節屈筋のストレッチを行おう。多くの場合は腸腰筋よりも大腿直筋の方が影響が強いかもしれない。
股関節伸展+膝関節屈曲で大腿直筋をストレッチしよう。その時、骨盤が動かない様にロックすればより効果的。
チェック2 体幹側屈が強すぎる人の場合
側方動揺が大きいと体幹側屈が出てるのでそちらにもアプローチが必要となる。それは体幹の側屈が強いと中殿筋が入りにくいのが理由となる。側腹筋を使って骨盤を持ち上げ、中殿筋の活動を抑えてしまうんだろうね。
それを防ぐ為に側腹筋のtightを取ってあげる必要がある。腸骨稜に沿って触診すると硬くなっているところがあるはずなので、そこを骨盤を足側へ軽く引っ掛け牽引しながら直圧するといいだろう。
痛みを聞きながら行ってほしい。
手順③ 荷重位で促通
今度は立位で行う。
基本的に人間は立って生活するので、立っての動作訓練はとても大切。座ってのみのトレーニングで完結するトレーニングは存在しない。
では右にアプローチするとする。
最初に足の裏の指導をするところから始める。
真ん中から外側に体重が乗るよう言い、同時に指で指そう。ここですと。
次に片足立ちになるようにする。もちろん真ん中から外側に体重が乗るようにしておく。手すりがあった方が安全だしいいね。
そうすると右骨盤は当然上がるはずだ。そこでその右骨盤を下げる様に補助・誘導・指導する。
骨盤が下がる姿勢は中殿筋が短縮する方向へ働いている事になる。
これが意外と難しい。
最初はできなくても補助しながら行うとできる様になる。可能なら補助しながら中殿筋を触りながら、収縮しているか確認しよう。
出来るようになってきたら補助を離して行うといい。
この時の注意点として体幹が右(荷重側)にブレていないか確認する必要がある。出来るだけ足関節、膝関節、股関節、骨盤が一直線になるように意識するといいと思う。
ブレる場合、指導し意識させる。
できない場合は側腹筋へのアプローチが足りていない可能性が考えられる。
側腹筋の短縮が少なければ側屈は減る。
手順④ 反対の側腹筋を促通
反対側の側腹筋へのアプローチは大切となる。基本的に反対側は短縮して使う事が苦手になっているからだ。
アプローチ側を上(中殿筋とは逆)にして横向きに寝る。
膝と股関節をそれぞれ90°ぐらいに曲げよう。
そして上の方の手で膝の外側を触る様に体を起こす。
これを繰り返し行うことで反対の側腹筋へのアプローチとなる
中殿筋へのアプローチポイント、注意点
●トレーニング時できるだけ触って筋肉がきちんと働いているかチェックしよう。
そしてタップしたり軽く圧迫する事で筋肉の働きを意識させる事も重要だ。
最初の方は必ず行おう。
●中殿筋よりも先にみること
股関節の屈筋の柔軟性が乏しい人は本当に中殿筋への刺激が入らないので、まずは屈筋からアプローチしよう。
●注意事項
もちろん注意事項がある。「痛みがないか」と「荷重がかかって弊害はないか」だ。
痛みはないかは行っている最中に確認する事が必要。
問題は荷重がかかる事での弊害だ。
中には中殿筋が機能する事で痛みが出る事もあるので注意が必要で、そこはケースバイケースになる。
おわりに
以上が中殿筋のアプローチ方法になる。
きちんと出来ればその場で歩行での骨盤の上がる現象=中殿筋の機能低下(側腹筋の過収縮)を改善させる事も可能だ。
回数が確保できるならば一度にすべてを行わないで、最初は非荷重のみでもいいかもしれない。
非荷重でのトレーニング+同側腹筋へのリリース+反対側側腹筋トレーニングだけでもいい。15分もあれば終わるだろう。
荷重時のトレーニングは膝のブレやカラダの過剰なブレが出ないように意識・誘導する事が大切だ。
是非チャレンジしてほしい。