どもっ!柔整師でブロガーのAkira(@10sei_guide)だよ!
- 腕が上がりにくい
- 腕を上げようとすると痛い
こういった上肢の挙上に関する主訴はよく遭遇する問題だよね。
主に関係するのは肩甲上腕関節だけど、それ以外にも重要なポイントはいくつかある。
今回はその内の1つである「体幹」に注目して説明していく。
上肢の挙上がしにくいの要点
最初に簡単に要点を。
- アームラインの末梢をリリース(筋膜関連)
- 骨盤や体幹の側屈を正す(バイオメカニクス関連)
で痛みの再現性をみて、変化があるようならそこにアプローチを向けていく。結構シンプル。
今回はその中でも体幹に注目して読んでもらえればと思う。
また痛みの再現性、特にアナトミートレインについてのアプローチの詳細はこちらのnoteでも解説しているので、良ければ目を通してほしい。
※腕が上がらないという主訴は今回紹介するもののみではありません。いくつもの問題が組み合わさっている場合もありますし、シンプルだけど全く違う原因もあります。またあくまで上がりにくいという観点で、ROM制限が顕著な場合はこの限りではありません。
今回は一例として参考にして下さいね。
上肢の挙上改善方法「アームラインの末梢にアプローチ」
肩甲骨周囲の問題はアナトミートレインのアームラインからのアプローチが有効な事が多く、僕も臨床で度々使っている。特に子供やROMの問題がないなら一度検査してもいいと考えている。
もちろん肩甲骨の問題は上肢の問題に繋がりやすいし、単純に上肢の関連ラインの問題の解決にもなるしね。
基本的になやり方は該当ラインを確認した上で全てをリリースしてもいいけど、ポイントを絞って問題があるところ(再現性があるところ)を重点的にやるだけでも効果は比較的高い。
子供やROMの問題がない、または薄いならアナトミートレインは有効
アナトミートレインの検査例をもっと具体的に知りたい方はこちらもどうぞ。
→アナトミートレインへのアプローチのやり方と具体例(僧帽筋中部線維の痛みをアナトミートレインを参考に患部を治療せず5分の治療とテーピング1本を使って改善した例)
上肢の挙上改善方法「骨盤や体幹の側屈を正す」
実は今回のメインはこちらで、上肢の挙上に対して体幹、特に胸椎の側屈を見るのはピンポイントで有効なことがある。
肩峰下インピンジメント症候群の方では肩甲骨の可動性を出すために胸椎の伸展は大切だよ。って話はしたけど、今回は側屈。
と言うのも上肢の挙上、特に90°以上では胸椎の可動性が大切になる。
また、上肢の挙上は座位か立位でも変わってくる。それぞれ見ていこう。
座位での上肢の挙上
座位の場合、正常であれば上肢前方挙上90°ぐらいをピークにして体幹の伸展が生じる。この時、非挙上側の起立筋の筋活動が必要になるんだけど、これは上肢が前に出ることによる質量中心の変位に対しての釣り合いを取るために必要な筋活動になる。
上肢前方挙上90°以上になると胸椎の伸展+反対側への側屈が生じてくる。150°で反対側屈が最大になり、特に12胸椎を支点にされる事が多い。
立位での上肢の挙上
立位の場合も150°以上で反対側へ側屈が強く、逆に90°以上で挙上側下肢への荷重増加はするもののわずかとなる。
これは下肢の踏ん張りの影響が関わっていると思われる。
このように上肢のスムーズな挙上には胸椎の側屈が大切になる。
あとは立位の方が足底での反力や腹腔の筋活動、いわゆる『いきみ』が起こりやすいので、挙上しやすいかもしれない。
上肢の挙上に胸椎の側屈を考えてアプローチする
上記の通り、上肢のスムーズな挙上には胸椎の側屈や起立筋の収縮が大切になる。でも肩甲上腕関節や肩甲骨のROMを考えるとそこまで重要かというと疑問がなくはないよね。
実は胸椎が上肢の挙上に関わるパターンかある。
それが通常とは反対の動きをしている時。つまり上肢の挙上には胸椎の反対側への側屈が大切になるけど、逆に同側へ胸椎か屈曲する場合がある。
これは本来起こる動きではないけど痛みが継続してたり、外傷後の代償などの名残で出ることもある。もちろん日常生活の使い家でもね。これが起こってしまうと圧倒的に上肢の挙上はしにくくなり、痛みとなることもあるだろう。
試しに自分でもやってみてほしい。
胸椎を左右で屈曲し右上肢の挙上をした場合、どちらがしやすいか?
胸椎へのアプローチ方法
胸椎へのアプローチ方法は各自のやり方でいいだろう。
今回は少し例を出しておくね。
上肢の挙上に関しては体幹の側屈が必要になるのはデータ的にも出ているので、側屈が反対に出ていないか確認。
→患側挙上に必要な側屈を入れることで痛みの再現性を確認。減るようなら体幹側屈アプローチ
→側屈に関わる筋の収縮と反対側のリリース
また検査も簡単に出来る。
胸椎の側屈を左右してもらい、反対側への側屈で上肢の痛みが減るならアプローチする価値はあるということ。
触診からも同じ。
肩の挙上の問題がある人に対して両方の胸椎の起立筋を触り、左右差、特に患側側の起立筋の緊張が強かったり膨隆が強い場合は上肢の挙上と胸椎の側屈のバランスが崩れている可能性が高い。
その場合は反対側へ側屈を促すのと同側の起立筋をリラクゼーションするといいだろう。
ROMだけみると失敗する
ROM(関節可動域検査)は客観的な数値で患者を評価出来るので大切になる。ただやはりそれだけでは足らなくて、運動学なども合わせて使うことでよりその重要さが際立つ。
また単一の関節に対してROMはスクリーニングの「始め」でしかない。
今回の例を出すと肩関節のROMは問題ないとなっても、そこからどうみるか?を知っていたり考えたりしないと意味がないんだよね。
肩甲骨までみるか、胸椎までみるか、または頚椎もかかわるのか、実は遠位に原因があるのか?
などといった広い目線も大切になる。
そのためにはやはり解剖学、生理学、運動学といった主要学問は改めて大切だな。と思うわけだ。
上肢の挙上に胸椎へアプローチする有効性
このように単純なパターンを知っているだけで引き出しは増え、アプローチ方法は増えるだろう。
その反面、大切なのがパターンばかりに依存して思考をやめること。
- なぜ痛みが出るのか?
- どう他の組織と関わっているのか?
これを考え続けることが大切で、パターン中毒にならないように気をつけてほしい。
パターンは楽だけどね。
今回の記事が参考になればうれしく思う。