どもっ!柔整師でブロガーのAkira(@10sei_guide)だよ!
今回はアナトミートレインの1つであるスパイラルラインの説明になる。
スパイラルラインの主な機能や走行、アプローチポイントとは?
このラインは長いく、様々な部位で影響が強いためしっかり理解しよう。
スパイラルラインとは
スパイラルライン(SPL)はアナトミートレインの1つでからだ全体を名前の通りスパイラルの様に走行している連続した筋膜にある。
基本的に身体にまとわりつくような走行をしているため、身体の回旋の作用をもたらす。
スパイラルラインの走行
頭蓋骨外側~
板状筋~
反対の菱形筋~
肩甲骨の内面を経由し前鋸筋~
外腹斜筋~
反対の内腹斜筋~
上前腸骨棘から大腿筋膜張筋~
前脛骨筋~
足底で長腓骨筋~
腓骨頭で大腿二頭筋~
仙結節靭帯~
脊柱起立筋~
板状筋の下を通り後頭骨へ
まさに身体を巻き込むようにスパイラル状となって走行する筋膜ラインになる。
スパイラルラインの主な機能
全身をらせんで走行している為、全ての面で脊柱の長さとバランスを保つ。
動作では身体の回旋やそれに伴うバランスの制御を行う。
単独よりもスーパーフィシャルフロントラインやスーパーフィシャルバックラインなどと組み合わせて働くラインになるので、これらの筋膜ラインへのアプローチも忘れずに行おう。
スパイラルラインへのアプローチ
スパイラルラインはアナトミートレインの中でも多くの筋肉が関連するため、全てを一度にどうこうするって言うのは少し大変になる。
ポイントを押さえて重要そうなところからアプローチするといいかもしれない。
(頭)板状筋
頭板状筋はTh3~C4横突起から乳様突起につく。
これは座位でも行えるだろう。右に行う場合、頸部屈曲+頸部左回旋で伸張位とし軽めに直圧を行う。
頸部は敏感なので他の部位が終わった後でおまけ程度に最後に行ってもいいかもしれない。
あるいは無理に行う必要もないだろう。
菱形筋
菱形筋は肩甲挙筋と小胸筋と一緒に肩甲骨を下方回旋する筋肉になる。これらをリリースする事は肩甲骨の不良肢位の改善につながる。
姿勢不良の人は下方回旋、つまり肩これらの筋肉が短縮位となっている(肩甲挙筋と小胸筋は今回のラインでは紹介しない)のでゆるめる必要がある。多くのパターンはいわゆる なで肩 と呼ばれる。
側臥位で上肢挙上位(90°~100°がいいかもしれない)で腕を顔の前に出してもらい、そのまま菱形筋を直圧するだけでいいだろう。
物足らないようなら上肢を遠くに投げだして伸張位として行ってもいいかもしれない。
短縮した筋肉は伸張位として痛みがない範囲で圧迫するとリリースされやすい。場所によっては収縮後弛緩による抑制も使ってもいいだろうけど、これは力の調節が出来ない人には少し難しい。逆に痛みが出てしますこともあるので注意。
前鋸筋
前鋸筋は菱形筋と腹斜筋を結ぶけど実は想像以上に大きい筋肉になる。肩甲骨内側面全体から第1~9肋骨につく。筋肉自体が面というより線のイメージがある為か大きいと感じないのかもしれない。
線維は上部、中部、下部に分けられるが今回はスパイラルラインの走行上、下部線維のみに注目すればいいだろう。外腹斜筋が第5肋骨から始まるためだ。
下部は主に肩甲骨下角につくため機能は肩甲骨の上方回旋だ。
リリースの際は肋骨が直下にある為気を付けてほしい。
側臥位で肩甲骨を下方回旋へ誘導しそのまま適度に圧迫やスライドでリリースするといいだろう。
下方回旋の誘導方法は様々ある。結帯動作で肩甲骨内側を押し込んでもいいし、肩甲骨下角と上部を把持し右なら時計回りへ回すようにすれば下方回旋になる。
いずれにしても結構苦しいので相手の様子を伺いながら行うといいだろう。
この際、肩甲骨を内転誘導だけして筋繊維に沿ってスライドさせるだけでもいいかもしれない。
外腹斜筋
外腹斜筋は同側の前鋸筋と反対の内腹斜筋を結ぶ。
側臥位で骨盤はやや前方へ倒そう。すると相対的に体幹も回旋すると思う(右なら右骨盤を前に倒せば体幹は右回旋となる)
その回旋角度に合わせて上肢も挙上しよう。イメージは外腹斜筋と上肢が一直線になる感じだ。
そこまでしたら前鋸筋または肩甲骨を固定したまま外腹斜筋の走行に合わせて適度にスライドさせよう。
骨盤を遠位へ押させてもいいかもしれない。伸張位での深呼吸の方法になるけど意識させるのは最初は難しいかも。
腹部は人によっては敏感なので気を付けよう。
内腹斜筋
内腹斜筋は反対の外腹斜筋から同側の大腿筋膜張筋に接続する。
アプローチの際は側腹への作用よりも筋膜ラインを必ずイメージしよう。
側臥位で骨盤をやや後ろの倒す。
そのまま骨盤を下方(足側へ)牽引して腸骨稜のキワを適度に圧迫することでリリースとなる。
圧迫しなが筋膜ラインを軽くスライドさせてもいだろう。
大腿筋膜張筋
大腿筋膜張筋は斜め前方で外側広筋と癒着が起こりやすい部位だ。
背臥位になりこのラインに沿って触診し癒着部位を確認し圧迫+膝の屈伸でリリースしよう。
また大腿内旋位で大腿外側部~臀部を圧迫することでも効果はあるだろう。
前脛骨筋
背臥位で前脛骨筋の硬結部位や圧痛部位を確認しよう。
確認したら足関節背屈位で固定(他動で)し先ほどの部位を圧迫したまま足関節の底・背屈を行う。または圧迫の際前脛骨筋の起始部へ向かって圧迫とスライドを加えた状態で行ってもいい。
これはASTRにかなり近い。
長腓骨筋(足底)
長腓骨筋は足を外返しするため、アプローチは内返しで行う。可能なら背屈もいれよう。
走行に合わせて圧迫すればいい。下腿三頭筋外側頭との癒着部位はチェックが必要になる。
大腿二頭筋
大腿二頭筋も関節運動と一緒に行うといいだろう。
腹臥位で膝関節屈曲位で筋腹を圧迫しながら、膝の伸展を行ってもらう。圧迫はこぶしか前腕を使うといいかもしれない。
ポイントは長頭と短頭を分けて行うことだ。短頭をおろそかにしてはいけない。
通常股関節中間位で行うけど、外旋・内旋と角度を変えながら行ってもいいだろう。
仙結節靭帯
この部分は大きな神経もありアプローチに苦戦する。
個人的にはスルーしてもいいと思うけど、どうしてもアプローチしたい場合は解剖をよく頭でイメージして軽い刺激で持続圧迫などを行うといいかもしれない。
ちなみに仙結節靭帯はPSIS(上後腸骨棘)と坐骨結節を目安にアプローチするけど、仙結節靭帯が短縮位で圧痛がある場合は仙結節靭帯を緩める事で効果が、仙結節靭帯が伸張位で圧痛がある場合は仙結節靭帯以外に問題があるという資料を見たことがある。
脊柱起立筋
上後腸骨棘当たりを軽く固定し、頭側に向かって手掌などで持続圧迫を加えながらスライドさせリリースするといいだろう。
ただし腹臥位の上からの圧迫の場合、症状の憎悪に繋がる可能性もあるので十分注意する。
また、他のやり方として座位で行う事も出来る。
患者をイスに座らせ足を程よく着くようにする。リリースしたい起立筋の部分に2~4指のDIP関節以降を当て、患者に体幹屈曲を指示する。
その際、仙骨方向へ指先を誘導するように意識させることで頭側の脊柱起立筋をリリースする事ができる。
上まで行っていこう
その他アプローチ例
スパイラルラインは回旋に強く関わる事から、スポーツへの影響も強い。
回旋自体は本来とても不安定な動きである為、過度な癖はケガに繋がる。
また特定の回旋動作の繰り返しは同一ライン上への負担が強くなりやすいため、患者が訪れた際はラインの使い方を意識するといいかもしれない。
同時に反対ラインの促通や運動指導も必要となる。
関連・参考資料
書籍は例によってファッシャル・リリース・テクニックを参考にさせてもらった。
非常にわかり易く書かれていて、価格も手ごろなのでおすすめ。
また筋膜リリーステクニックも個人的にオススメする。今はボリューム2が出ているけど、僕は1の方が好き。
ファッシャルリリーステクニックよりも細かくは書かれていないけど、リリーステクニックがわかりやすくまとめられている。適応・目的・方法・注意など。
その分とてもわかりやすい。
アナトミートレインなら当然おさえたいのがこれ。これは第三弾なんだけど、第一弾は翻訳がひどいので購入する場合は気を付けてほしい。