どもっ!柔整師でブロガーのAkira(@10sei_guide)だよ!
柔整師が扱う脱臼の中で一番簡単なのが肘内障。
整復動作は人によりパターンはあるけど、おおよそ同じで基本的なやり方でも十分整復されるし問題となる事は少ない。
しかし実はこの簡単な肘内障でも判断を誤ると大きな問題となりかねないケースもある。そこで臨床的な問題として「肘内障と骨折」について書いていきたいと思う。
肘内障とは
肘内障を説明する必要がないかもしれないけど、簡単に解説していこうと思う。
病態:肘内障とは簡単に言うと橈骨頭が橈骨輪状靭帯から外れたものをいう。年齢的には幼児が多いけど、中には小学生でも起こるので注意。
原因:多くの原因パターンとして子供の手を「ふいに」引っ張って受傷する。
外見:典型的な子どもの受傷後のパターンとして腕を使わなくなる。特に前腕の回旋・肘の屈曲動作は嫌がってやらない。基本的に腫れはない。
整復:整復動作は橈骨頭を母指で押さえたまま前腕の回内・回外。
→そのまま肘を屈曲していき、屈曲位で回内・回外。
どの動作の途中でもクリック音を触知したら整復の合図となる。その後、子供が手を使うのを確認し終了。
固定、通院:特に固定などは必要なく、通院の必要もない。
と、ここまでは教科書的だけど、ここからは臨床的なお話をしていく。
本当に肘内障?骨折との判断
肘内障って実は骨折でした。ってパターンは油断していると現実的な問題となって遭遇する。ここでは2つの方法で骨折と肘内障の見分けを付けていこうと思う。
受傷機転の詳細
肘内障の多い原因は手を引っ張られることが多いのは事実。でも問題なのが、必ずしも親と一緒ではない時。
臨床的に多いと感じるのは「子どもが自分たちで遊んでいて、大泣きしだした」ってパターン。そしてそこから腕を使わなくなったってのが多い。
幼児が腕を使わないとなると真っ先に上がるのが肘内障。これは問題ない。注意なのが、多くの柔整師は既往歴を聞いて肘内障があればそれと決めつける点。確かに多いけど、決めつけるのはいささか危険。
大きな問題なのが上でもあるように、受傷機転がはっきりしないパターン。実は骨折してましたってのがあるので注意が必要。
- どのポーズで泣いていたのか
- 兄弟で遊んでいたのか、1人で遊んでいたのか
この辺りは本当によく聞いた方がいい。
例えば兄弟で遊んでいた場合、怒られるのを恐れて嘘をいうこともある。
受傷後のポーズによってはわかりやすい判断材料になる。例えば変な寝返りをした様な姿勢だった。ソファーから落ちたようだった。など。
誰と一緒だったか。どんなポーズで泣いていたのか。
この2点はよく聞いた方がいい。
外見上の詳細
当然だけど患部の状態はよく確認すること。患部周囲はもちろん、患側上肢帯からしっかり確認しよう。その時に腫れが著しかった場合、肘内障ではなく骨折の可能性が高くなってくる。
あとは限局的な圧痛があるか。
橈骨頭周囲だと判断が難しいかもしれないけど、骨折があると押されての痛みがある。嫌がるではなく痛みがあるかしっかり確認しよう。
骨折の固有症状の、異常可動性なんかは当てにならないから注意。
もし腫れがあって、圧痛もあるようならちょっと警戒。肘内障の整復もやるか考えた方がいいかも。
気を付けるべき骨折
骨折との鑑別で多そうな?骨折を上げてみた。
基本は腫脹と圧痛。これを細かくチェックすること。
- 橈骨頭、頸部骨折
- 鎖骨骨折
- 前腕骨幹部骨折
- 上腕遠位端骨折
橈骨頭、橈骨頸部骨折の簡単な判断ポイント
ここははっきり言って鑑別は難しいかもしれない。しかも骨折の状態によってはむやみに整復すると悪化しないとも言いきれない。
ここでのポイントは腫れだ。患部首位がパンプアップしたような感じになる。
整復動作を行い、クリック音が鳴っても患側を全然使わない場合は注意。必ず後日の来院を約束し、その時に状態を確認して尚変化しない場合は一度レントゲン撮影を行うように指示しよう。まあ写るとは限らないけど。
今回上げた例では一番判断が難しく、不全骨折だとかなりわかりにくいかも。
鎖骨骨折の簡単な判断ポイント
鎖骨骨折の簡単な判断ポイントはわきの下に手を入れて持ち上げて痛みが出るかだ。これで痛みが出て泣くのが強くなるようなら骨折の疑いが強くなる。
前腕骨幹部骨折の簡単な判断ポイント
骨幹部の骨折は腫れも出やすいからわかりやすいかもしれない。また圧痛が明らかに異なるので、焦らずに判断しよう。
前腕は回内位で骨がクロスするので骨折がある場合、本来痛みが強くなる。なので他のケースと比べて判断がしやすいかもしれない。
上腕遠位端骨折の簡単な判断ポイント
ここも関節内の骨折で程度が軽いと判断が難しいかもしれない。
ただしっかり圧痛を追って確認すれば問題ないだろう。
この様に受傷機転がはっきりしない場合、骨折との判断が必要不可欠になる。むやみに何度もやってクリック音を追うよりも、受傷機転を想像しパターンを想像することはとても大切になる。
肘内障と骨折の判断まとめ
肘内障は簡単で柔整師の多くは、ここから色々と経験していくって人も少ないないかもしれない。
ただそこで気を付けて欲しいのは常に他の可能性を安易に捨ててはいけないということ。時には肘内障と思っていても骨折している時だってある。今回は比較的多いだろうポイントを書いたけど、他にも骨折していることだってある。
基本は腫れと圧痛を細かく把握する事と、わからないようなら翌日も来院してもらうこと。何度も繰り返すのが正解ではないってことを覚えておいてほしい。
あくまで教科書的な対応をしているとスル―しがちなので、必ず今回の事を頭に入れておいてほしい。頭に入っているだけで選択肢としてとらえる事ができ、リスクマネジメントにつながる。